先日、埼玉県南浦和のコミュニティ・フロント様よりご注文頂きましたテーブル2台の製作工程を御覧下さい。
現物は、埼玉県さいたま市南浦和2-4-2コミュニティ・フロントにて御覧頂けます。
また、壁面に飾られた額縁は、天然木材のみで描かれております。提供 北三株式会社
このテーブルは芯に集成材を使用し、表面に化粧材の天然突板(つきいた:木材を薄くスライスしたもの)を練付(ねりつけ)、コーナー部分の丸みを持たせた所には、部分的に無垢材を使用しております。
天板にはメープル(かえで)の杢目(木材を桂むきにした時に出来る木目)で、細かな枝が織り成す粒々とした木目は、鳥の目のようなのでバーズアイ・メープルと呼ばれ、メープルの中でも、こうした木目を持ったものは貴重とされております。
下台、及び脚部はブビンガー(紫檀)の天然突板の柾目を使用しております。
4列に並んだ引出しの前板は、1枚の無垢材より加工しており、順に木目が揃っております。また、天板に入ったラインは象嵌(ぞうがん)と言い、違素材を埋め込んでおります。ここではラインですが、どのような形状でも可能です。
製作工程
既製量産品に比べ、注文家具が何故高価なのかがお解り頂けると思います。そして、技術とお客様の立場にたった物作りは、価格の何倍もの価値があるものとご納得頂けると確信しております。
天板製作
素材:バーズアイ・メープル(カエデ)象嵌:ブビンガー(紫檀)
構造:ラワン合板に突板練付、象嵌加工塗装ウレタン塗装
バーズアイ・メープル(カエデ)
科 | カエデ |
主産地 | カナダ/アメリカ東部 |
気乾比重 | 0.71 |
硬度 | 中 |
天板のベースとなる合板の廻りに厚さ1cmの無垢材を貼っていきます。
これは、下の写真のように、角に丸みを付けますので、下地が出てしまわないよう無垢材を使用し、合板との接合部分に段差が出ないよう仕上ます。
合板に0.6mmの突板を乗せた所。これからプレス機で圧着します。
コーナー部分を丸く加工します
仕上げにサンダーを掛け、凸凹を無くします。
象嵌(ぞうがん)加工
一旦、塗装を掛けた後、違素材を埋め込むための溝を掘ります。
この様に脚部と同素材の紫檀の無垢材を埋め込んでいきます。
4方に象嵌が入りました。
ベースと平面になるよう象嵌部分を研磨します。
この加工の前に、一旦塗装をしたのは、研磨したくずがベースのカエデの木目に入り込み、にじんだ様にならない為です。何処までも仕上げの美しさにこだわります。この後、塗装工程に入ります。
下台製作
素材:ブビンガー(紫檀)引出し内部:スプルス(ラオス桧)+シナ合板(底板)
構造:カバ集成材に突板練付引出し前板:ブビンガー(紫檀)無垢材引出し金物:完全スライドレール
塗装:ウレタン塗装
ブビンガ―(紫檀)
科 | 豆 |
主産地 | カメルーン/ガブン |
気乾比重 | 0.91 |
硬度 | 重硬 |
天板と同じく、角を丸く落とす部分には無垢材を埋め込み、プレス機で圧着させます。
表面に0.6mmの突板を貼っていきます。
プレス機で圧着させた後、突板のはみ出した部分を削ぎ落とす。この作業を4面繰り返します。
脚部と貫の接合部分の加工が完了致しました。
仕上げの紙やすり当てでは、機械処理出来ない部分は、勿論手仕事です。表面には出ない所ですが、こうした個所に、ご利用になる方への気配りは省けません。
下台を組立、引出しのレール金物を取り付けました。
塗装工程
家具、特にテーブルの塗装は、ウレタン塗装を何層にも重ねることで、テーブルとしての塗装強度と光沢を創り出します。
重ね塗りの際には、表面が平で塗り斑が出ないよう、塗装表面を毎回研磨しますので大変な作業工程となります。特に、このテーブルは象嵌(違素材の埋め込みライン)がありますので、慎重に、且つ丁寧に作業を進めなくてはなりません
これは天板の裏面ですが、同じように塗装を重ねていきます。
湿気に敏感な木材は、表裏同一条件に保たなければ、湿気の吸収率に差が生じ、製品の反りやねじれの原因になるためです。勿論、見た目の仕上がりや、汚れ防止の役目も担っています。
塗装後、皮膜面を平に研磨し塗装を重ねていきます。この工程を何度も繰り返します。